アマチュア無線の思い出には、電波を飛ばすこと自体が楽しいと書いた。その中身は、無線機で電波を作り、アンテナに載せ、弱い電波をまたアンテナで受けて、無線機で音響に変えることである。だから、無線機やアンテナなどのハードウェアが楽しみの第一と言うことになる。これらを自作するのが最高の遊びであるが、手っ取り早く完成機を買ってしまう人が多い。
アマ無線で飛ばせる電波は、周波数や変調方式によって何種類もある。掛け合わせれば、100種類を越えるだろう。電波を送信して、そして受信できることがわかったとすると、その電波が、どこまで届くのか、電波の種類で届き方がどう変わるのかというのが次なる興味である。基本、遠くまで、雑音に煩わされずに飛ばしたいのだ。それで無線機やアンテナを工夫するのだが、それだけではない自然現象が強く関与している。自然現象とは、太陽の活動状況や、地球を取り巻く大気の上層に広がる電離層の状況である。地球が回るので、これらが一日の中で刻一刻と、また四季を通じて変化する。波乗りをするように、このチャンスを捕まえなければならない。
電波伝播の実験は、地球規模で行われる。ホームにじっとしていては、中途半端な実験しかできない。どういう場所なら電波が飛びやすいのか、人間がろくに住んでいない南洋の孤島ではどうなのか、あちこちロケーションを変えて試さなければならない。いろんな乗り物に乗って、あちこち、高いところ、低いところ、湖の近く、山の合間などに移動してみる。
このごろは、無線機で話しするだけでなく、コンピュータやインターネットにつないだりもできる。無線で、音声だけでなく制御信号が送れれば、いろんなことができるだろう。無線機を家に置いて、外出先や出張先から、iPhoneなどで電波およびインターネット経由で自宅の無線機につないで、自宅から電波を出すという倒錯した世界が現出する。8(北海道)に出張に出ても、この方法で自宅の1(関東)から電波を出せて、移動しているはずが、固定局からだと!いいじゃないか!
そうやって交信が成立すると、それは証拠として残しておきたくなる。交信が成立することには学術的な意味もちょびっとある。いや、実際、電離層の活動は、このような遠くとの交信を目指すアマチュアのたゆまぬ努力と観測で解明されたのだ。そしてその功績によって、アマチュアには、電波を出す権利を与えられたのだ。今や、電離層屈折や、ダクトや、月面反射や、流星散乱など、ほとんどの電波伝播は解明されたと思うが、それでも、耳で聞いても信号が来ているかどうか全くわからない雑音の中から信号を取り出す技術など、とんでもない技術開発につなげられることもあるのだ。だから、証拠を残したい。証拠は、ログブックに記録するだけでなく、はがきサイズのQSLカードを発行、交換することで確かなものになる。さらに、そういう交信をたくさんやれる人は、その技術を誇りたいので、いろんなコンテストがあって、アワードが出される。
最後に、せっかく空でつながるのだから、何か楽しいことを話そう、コミュニケーションしようではないか。おもしろいことに、無線で話す相手は、基本、初対面ばかりなのだ。空には国境はないので、海外と話す機会も生じる(まだない)。道や電車で見知らぬ人に話しかけるのは勇気がいるというか、場合によっては変態扱いされるのだが、空には、変態が満ちている。59,QSL,73しか言わない人も多いが(貴方の信号は強力に来ています、QSLカードを交換しましょう。さようなら、という意味)、反対に、今のご時世では、公共の電波で名前を出すことの危険性はあるはずだが、たいていは極めてフランクに会話が進行する。とはいっても、アンテナがどうの、どことつながったの、ここはどんな場所だの、というマニアックな会話なので、悪人が聞いてもわけがわからないし、利用できる情報は少ないだろう。むしろ、コールサインを言わないで会話している違法局同士の方が、ヤバイ話しをしている確率が高い。目の前には無線機しかなくて、人の顔が見えないから、たくさんの人に聞かれているという感覚が薄れてしまうのだろう。
空で話しをするだけで飽きたらず、面談する人も現れる。クラブを作ったりするのもそれでしょう。アンテナを立てるのに助力を頼めるような仲間がいたら心強いでしょう。
無線技術、通信技術の免許を取ることに一生懸命になるマニアもいますね。それはアマチュアではなく、プロです。アマチュア無線をやって、アマチュアとプロの違いに敏感になりましたね。金を稼ぐのがプロ、金に興味がないくらいお金持ちか、どうやっても金が稼げないのがアマチュア。
電波を送受信するには、無線機が必要である。昔は、これを作るのがアマチュアの最大の関心事であったが、今やメーカー製の完成品を買うことが多い。そういう人たちは、iPhoneにより高い魅力を感じることも多いだろう。
自分で作るのが大変だったのは、昔は、周波数を安定させるのがむずかしいこと、SSBを作るのがむずかしく、選択度を上げるフィルタが入手困難だったことだろう。そして、いまや今や送受信の両方にデジタル技術が必要で、半田ごてを振り回すだけでなく、DSPのプログラミングまで必要になるだろう。さらに下手な自作機を作って、汚い電波でTVなどに妨害電波(interfere、略してTVIあるいは、ただI)を出すことに神経質にならざるをえない。航空無線などに影響が出ると、大事故につながりかねない。
メーカーの無線機というのは、1990年頃から、ほとんど進歩していないのではあるまいか。それ以前、1980年頃に、無線機にもマイコンが使われるようになって、周波数シンセサイザー方式をマイコン制御して、周波数が10Hz間隔で精密に制御、表示できるようになったことは、画期的であった。そのためにはPLLが必要で、PLLもスゴイ技術。PLLシンセサイザーと呼んでいた。その後、特に日本製は、バンド数が増えて、狭帯域フィルタが付いて、バンドスコープが付いて、タッチパネルで操作できるようになったことくらいでないか?逆に言うと、昔の無線機でも結構使えそうだ。
最近では、ダイレクトコンバージョンとか、ダイレクトサンプリングとかがおもしろそうな技術が出てきた。原信号をちょっとアンプして、すぐにAD変換し、FFTやデジタルフィルタなどのデジタル信号処理で同調や検波回路を置き換えてしまおうという方法だ。LC共振回路をがばちょと減らせそうだ。あんなに一世を風靡したスーパーヘテロダイン、ダブルスーパー、トリプルスーパーが消えていくというのは信じられないくらいだ。要はSN比なので、初段でほとんどの性能が決まってしまうわけだが。
それでも、HFとVHF/UHFとは違うモノのようだ。UHFになると、さすがにサンプリングが追いつかないという理由もあるが、HFのように混信が問題になることは少ないし、大気中の雑音もずっと少ないからだろう。HFとVHF以上とでは、使い方も違う。HFはDX狙いが本流だが、VHFは、せいぜい100kmと安定に長話することが目的だったりする。無線機も、HF機とVHF, UHF機とは別にすることが多いが、何もかもいっしょくたにした機械も出ている。マルチバンド機は、一見、魅力的に見えるが、HFとV/UHFは、使い方がかなり違うので、両方同時に使いたいという人もいる。そういう場合は、結局U/V機は別途必要になる。
無線機の自作は難しいが、アンテナは自作可能。買ってきたアンテナでも、自宅に設置するには工夫を要する。家を新築するとき、無線のことを考えておけば良かったのだが、10年前、2006年は、閉局後10年で、光インターネットが始まる時代で、まさか再開局するとは思っていなかった。
屋根裏から引っ張り出してきた1985年頃の古いリグは動くみたいだが、アンテナがない。1985-1995年は、4階建てアパートの4階に住んでいたので、ベランダにひょいっとポールを突き出すだけで、VHF用のGPと、52MHz用のHB9CV、7-21-28MHzのVダイポールを12m高に上げられた。
今の2Fのベランダでは、せいぜいが5mくらいの高さしか取れないが、とりあえず、ベランダの手すりに木枠を付けて、145/435MHzのモービルホイップを立ててみる。これをサッシ窓すり抜けケーブルで屋内に取り入れる。モービル用のアンテナはアースが必要だが、木枠で絶縁されてしまっているので、アース線を別途張る。アース線が長すぎるよね。アンテナよりずっと長い。結果は、あまりよくないので、写真の右側のような、10エレの八木アンテナを付けてみた。このアンテナを付ける基台がまた大変で、住宅の外壁にネジ止めした。
木枠で取り付けたモービルホイップと 10エレの435MHz八木アンテナ。 この八木には、13dBほどのFB比があるのだが、主指向性の西方面ではなく、北の栃木、南の東京や千葉や牛久、東の土浦や市内ばかりが聞こえてくる。アンテナが向いている駅前のマンションが電波を反射、散乱させているのではないか。 左側目の前の電柱が、おあつらえ向きのアンテナポールになりそうだが、使えないのはうらめしい。 |
|
サッシ窓を通過させるケーブル中継の小物。左側がアンテナで、細いのは、モービルホイップの基台から来ている。太いのは、八木からの5D-SA。この中継器は、ちゃんと使えるが、50W以上のパワーを入れられないので注意。5000円もするしね。 |
|
銀色が 外壁に付けた基台。 黒い線は、HFダイポール。 |
|
145/435 ハンディ機。これで5W出る。2005年頃発売の古い機種。進歩がない。 中波やFM放送も聞ける。 聞くだけなら、7MHzのSSBも聞ける。 |
HF(7と21MHz)用のダイポール-ダイアモンドのW721-も付けてみた。これが完成したのが2015年12月13日。TS-670で聞くと、7MHzは、日本中聞こえるがノイズが多い。21MHzは、コンディションが悪いのか、あんまり聞こえない。ま、こんだけできれば、新しい無線機を買っても良いかなと思案中。
それから、アンテナの切り替えが面倒。V・U用のケーブルとHFのケーブルの2本を通さないといけないようだ。
ベランダから外を眺めても、外からベランダを眺めても、高さが足りない。タワーを建てるのは大変すぎる。屋根の上なんて危なくて登れない。家の中で一番高いところは、屋根裏である。ベランダより2メートルくらい高いぞ!うちの屋根裏は、けっこう広いし、作業もできる。屋根裏にアンテナを付けて、小さなテーブルをしつらえれば、屋根裏シャックになるではないか!屋根の内側に反射して輻射効率は低下するかも知れないが、実験してみよう。
通勤電車の中で、どのバンドにするか、どちら向きに張るか、同軸はどこを通すかなどつらつら考える。総2階作りなので、屋根裏は、大きな一部屋で、10x8mくらいある。端っこの方は手が届かないが、正味10x5m、斜めに張れば、最大11メートル取れる。7MHz短縮ダイポールは、外壁を巡らせて張ったので、TS670で出られる50MHzと28MHzを考える。14MHzもやってみたい。3.5MHzの短縮ダイポールはどうか? まずは、50,28,14の3バンドのダイポールを検討する。
MMANA というアンテナ設計/シミュレータがダウンロードできる。使い方がよくわからなかったが、一晩かけて、下記のような3バンドダイポールを設計できた。シミュレーション通りなら、バンドの主要部分のSWRが2以下になる。
さて、週末に電線やら塩ビパイプやら買い集めてこれを製作したのだが、例によって、「SWRが下がらない」。トラップのコイルが手作りなので、共振周波数が設計通りか、全く自信がない。1.42mのセグメントは、1.35mにして、調整ヒゲを垂らしてあるのだが、調整ヒゲを取り去ると多少ましになるが、それでも共振点は、50MHzより下にありそう、つまり1.35mでも長すぎるようなのだ。これはおかしい。トラップの共振点がずれていて、51MHzとかでトラップが高インピーダンスにならないのだろう。それで信号が二つ目のセグメントにしみ出すので、長すぎるアンテナとしての挙動を示すのだろう。しかしディップメータがないので共振点を探せない。困ったな。
翌日、初心に返って、まずは50MHzの普通のダイポールだけつないでみる。一つ目のトラップ以下を全部切り離して、最初のワイヤだけで同調を取ってみる。すると、1.42mでは全然長すぎることがわかった。このセグメントをちょっとずつ切って、51.2MHz位でSWRが1.5位になるようにできた。これ以上は下がらないのは、やはり屋内だからか?次に、一つ目のトラップをつないでみると、SWRの最低値は1.8位に上がり、なおかつ同調がずれる。これは、トラップの共振点が51MHzではないからだろう。同調点を探すには、ディップメータが必要だが、いまや貴重品で手に入らない。グラフを描いてみて、同調が低い周波数にずれていると当たりを付ける。50MHz辺りのSWR変化の方が、54MHzのSWR変化より大きいからだ。トラップの同調点を上にずらすには、LかCを減らすのだが、たとえば48MHzを50MHzとかにするのは、かなり微妙な変化だ。コイルの巻き数は5とかだから、4にしたら減りすぎる。Cは、10pFのところ、ストレイ容量をさば読んで8pFを付けてある。これを7pFにすると10MHzくらい同調点が変わってしまう。それで、コイルの巻き間隔をゆるくする。コイルは、ゆるく長く巻くと、同じ巻き数でも容量が減るのだ。これは当たりだったみたいで、SWRは、51.5MHz当たりで最良値1.75くらいになった。
次は、28MHzを合わせようとしたが、もはや、らちが空かないことに気がついた。最初のトラップの同調点がいいかげんな状態で、次のセグメントの長さ、その次のトラップの同調点を合わせるのは大変すぎる。実際、28MHzの同調は取れそうになかった。じっくり考えると、トラップというか共振回路を自作するのは、かなり無謀であることに気がついた。ソレノイドコイルの設計などを使ってみると、コイルのQが100を越えている。そんな急峻な要素を、測定器(ディップメータ)どころかバリコンもない状態で51.5MHzに合わせるなんて無理。それが狂えば、上の設計は、まさに絵に描いた餅になる。14MHzまで同調できるわけがない。こういう市販品はないことはないが、もっと長波長(ずれを許容しやすい)が対象で、2バンドもの。3バンドは欲張りすぎ。それに、彼らは、トラップの同調を完璧に合わせられる。メーカー製の3バンド以上の製品を思い浮かべると、バランから、複数のセグメントが出ていることを思い出した。つまり、50MHzダイポールと、28MHzダイポールを給電点で合成してしまえばよい(下図)。そうすればトラップは不要になる。互いに悪影響は出ないのか?同調していない方のワイヤーに紛れ込んだ電流は、おそらく反射されれ給電点に戻り、そこから別の経路を選んで正しく同調するアンテナから輻射されると考えられる。それで、トラップを外し、新たに28MHz用の2.5mx2のワイヤーを作って取り付けた。そうしたら、50MHzも28MHzも、最良点ではSWRを1.7位にできた。
屋根裏に展開したことで輻射効率が悪くなっている可能性はあるが、まあ、聞こえているからOKとしよう。それより、2Fのシャックから、アンテナのある屋根裏まで簡単に出張できるのはありがたい。ベランダに出るより簡単だろう。寒くないし、電気も来ているから、半田ごても振るえる。高いところで危ない思いをする必要もない。指向性アンテナを付けても、360°回転させることも可能に思われる。パーツが雨に当たって劣化することもない。NHKに疑られることもないだろう。こりゃええわ! 本来の役割である物置機能に障害が出るかも知れない。
HFではアンテナが重要だが、VHF以上では、むしろロケーションが重要。VHF以上は、基本見通し範囲でしか通じないから、ビルの谷間に住む人でなくても、展望台や山にでかけて波を出すのが得策である。実際、週末は、そういう移動運用がたくさん登場する。移動運用=モービルで、運転席でハンドマイクのイメージが強いが、サイクリストの私としては、自転車でやってみたい。
新しく買った145/435MHzのFMハンディをサイクリングジャージのポケットに入れて筑波山に向かう。トランシーバは、30年前に比べて一際小さくなっていて、NiCd電池もリチウムになって大容量かつ軽量。背中のポケットに簡単に収まる。もしくは、パンツの縁にバンドホルダーで取り付けておく。イヤホンを付けて平地を走ると、ときどきガサガサとモービル局のフェージングを帯びた信号が入るが、交信できるような状況ではない。峠を登り、2-300メートルの標高まで来ると、いくつかの局が聞こえる。さらに、420mの風返峠、530mのつつじヶ丘駐車場(ロウープウェイ駅)まで来ると、433MHzのメインチャネルの周囲で10組くらいの交信が聞こえる。チャネルによっては、2-3組がかぶって交信している。当人達には混信していないのだろうが、ここは場所が高いので良く入るのだろう。メインチャンをワッチしていてもCQは聞こえてこないので、自分でCQを出す。水戸、前橋、東京、埼玉、などの局とつながる。いずれも、こちらのトランシーバは、ハイパワー(5W)状態で、相手が59で聞こえていても、こちらは53で届いているというような状態。たまに59で入ってますと言われて気をよくしてローパワー(0.5W)に落とすと、41でかろうじて聞こえますというような状況になる。ハイパワー送信だと、電池の減りが激しい。おそらく、1時間もやっていると空になるだろう。それに、発熱もすごい。5Wだと10Wくらいの熱が出ていることだろう。
この時期(2015年12月)、寒くなる。坂を自転車で登って汗をかいた状態で、地上より2-3℃低い標高の場所で、風に吹かれていると冷えてくる。そのあと、下り坂をかっとばすとさらに冷える。下りた地上では、やはり何も聞こえなくなる。
グループでサイクリングしながら、ローパワーで話が出来ると楽しいでしょうね。携帯電話よりずっと気楽だし、常に複数人に同報出来る。でも身の回りに、自転車と無線の両方を趣味にしている人はいないのが残念。サイクリングする人は免許を取ったらいいのに。隊列を組んで連絡するのは便利でプロっぽいし、4級なら試験は簡単だよ。ここに模擬試験がある(さすがに2級を受けた直後では100%だった)。
2mで全くCQが出ていない。おなじみさんの通信にしか使われていないのだろうか。不法無線局に占拠されているという話も聞く。430MHzは、それなりに局数があるし、CQも出ているが、一月もワッチしていると、おなじみさんばかりになってくる。それはそれで楽しいが、やっぱり、いいアンテナにパワーを入れて遠くを狙いたくなるね。聞いていて、これは違法局だなとわかるのは、方言が強いこと。まっとうな無線局は、標準語。
7MHzは、以前と同様にぎやかだが、CWが減った。フォーンは、あいかわらずコンテストが多い。コンテストは、59 QSL 73しか言わなくて、おもしろくないのでやったことがない。ただし、いろんな人が一生懸命呼ぶから、どこが聞こえているか、すぐわかるのは助かる。
21MHz、28MHzは、夏のバンドなのでしょうね。今はほとんど聞こえません。50MHzはさらに静か。アンテナが悪いせいだろう。3.5MHzは、冬の夜にもゆっくり話する人がおおいので楽しい。ローバンドは、大きなアンテナを張ってまでやろうって人たちだから、マナーが高いように感じる。まあ、HFには、あまり不法局はいない。VHF, UHFは手軽だから、不法局がむらむらっと手を伸ばしやすいのだろう。たいして飛ばないから、監視の目にかからないと思っているかもしれない。ところが今は、総務省がDEURASという監視システムを築いていて、総合通信局から離れていても、違法電波はキャッチされる。 さらに、アマチュア無線局の検索システムも公開されている。免許されている周波数帯や出力がわかるから、悪いことはできない。
Wiresとか、C4FM, D-Starとか、デジタルなものが入り込んで混線している。移動中のハンディ機などから基地局につないで、そこからインターネットで中継して、目的局のいる近くでまた電波にして飛ばすって、まるで携帯電話のオープン・インターネット版のようなことができるらしい。しかし、そういう便利なことをすればするほど、アマ無線はイラネ、携帯で十分ということになりはしないか。
1984年に作ったカードはこんなもの 、筑波研究学園都市というのが時代を感じさせる。図柄は、当時イラストレータをやっていた家内の妹さんにお願いした。なかなかなアイデアで、気に入っている。
閉局するまで、数百枚集めたが、どこかに行ってしまった。アワードとか狙わないし、名刺代わりに交換するだけだとJARL会費が高く付く。今は、きっとオンライン版があるのだろうと思ったら、eQSLというのがあった。どうも気に入らない点もあるが、しばらく使ってみよう。昔の交信記録を入れてくださった人もいて、私のログブックの通りの時間、周波数の確認が取れると、相手方にも連絡が行くようにできるようだ。これならJARL入会は不要だろう。
米国では、未だにアマ無線局がわずかながら増え続けているのだという。国土がひろいから、セルラーの電波が届かないところもあって、無線に需要があるのだろうか。アマ無線に開放されている電波帯も日本より広い。無線家が監督していれば、持っている無線機を家族や誰かに使わせることもできるらしい。それどころか、包括免許と言って、日本で言う従事者免許を取得すれば、局免は不要で、すぐに買ってきたトランシーバの運用が出来る。日本は、従事者免許は終身有効、局免は5年で失効するが、米国は、10年で従事者免許=局免が失効するらしい。もちろん、更新を続ければ終身使える。その方が合理的ではないだろうか。日本では、死んだ人の従事者免許も総務省のリストから消えないのではないか?だから、アマチュア無線家が未だに増えているように見えるのではないか。従事者免許者は増えても、活性のある局は増えていない。
日本の無線機メーカーは一流になった。今、中国に迫られている。回路や方式が、IC化、デジタル化したので、コピーしやすくなった。価格ではとてもかなわない。Amazonで、baofeng で検索してみて下さい。日本製の1/10の価格のトランシーバーが出ています。日本では、これらの品は認定が取れていないので、このままでは運用できない。認定を受けるには、この価格の倍の手数料がかかる。米国では、買ってそのまま使えるので、中国製のトランシーバーがバカ売れらしい。日本のガラパゴス制度の弊害がここにもある。最近は、SDR (software defined radio) が流行の兆しを見せているが、日本の貢献はぱっとしない。欧米やロシアのベンチャー企業が進んでいる。
アマチュア業務は、電波技術の向上しかできないが、米国のように、コマーシャルでなければ何をやっても良いことにすればいいのに。アマチュアは、何の役にも立たない、役に立ってはいけないことになっているから、利用者が増えない。電波が好きな人なんて数が限られている。いや、総務省は、アマチュア電波利用者を減らして、携帯用バンドに回したいのかも知れない。スマフォの売れ行きの方が興味があるんだろうね。
JARL(アマチュア無線連盟)もひどいものらしい。QSLカードの運び屋とコンテストアワード発行業務しかしていないが、それも業者委託になって遅配が相次いでいるという。それでも採算が取れなくなって、終身会員からも会費を取ろうとしているとか、会長が数十年交替していないとか、選挙で落ちた理事を会長権限で再任命したとか、ひどいものらしい。業界全体が、既得権益の固守に汲々として、健全で持続可能なアマチュア無線というものを考えてこなかったのだ。