今所有しているA55用のレンズは、キットのSony DT18-55、Sony DT50 50mm F1.8の単焦点、タムロンの90mm,F2.8のマクロ、Sonyの30mmF2.8マクロの4本である。焦点距離レンジをこれ以上特に広げたいとは思わない。やはりよく使うのは、35mm換算で、28-135mmくらいである。今持っているレンズは、このレンジをカバーしている。中でも50ミリ単焦点はよく使うのだが、もう少し短い焦点距離に替えたくなくこともよくある。それでどれか一本だけ持って出かけるとすると、18-55のキットレンズにせざるをえないことも多い。このレンズは、キットレンズにしてはよくできていると評判ではあるが、やはり暗いし、ホントに高描写なのか疑問を感じることもある。キットレンズじゃ腕が泣くとか思ったりもする(そんな馬鹿な!?)
というとんでもなく長い名前のレンズである。以下では、このレンズのことをA09と呼ぶ。
購入に当たって比較検討したのは、以下のレンズ。
メーカ | 名称 | 焦点距離 | F値 | 質量 | フィルタ径 | 価格 |
ソニー | SAM SAL2875 | 28-75mm | F2.8 | 565g | 67mm | 6.5万円 |
ソニー(Zeis) | Vario-Sonnar T* ZA SSM SAL2470Z | 24-70mm | F2.8 | 955g | 77mm | 17万円 |
ソニー | SSM SAL1650 | 16-50mm | F2.8 | 577g | 72mm | 6万円 |
シグマ | EX DC HSM | 17-50mm | F2.8 | 550g | 77mm | 5.5万円 |
シグマ | DC MACRO OS HSM | 17-70mm | F2.8-4 | 535g | 72mm | 4万円 |
シグマ | EX DG MACRO (ミノルタ AF) | 24-70mm | F2.8 | 715g | 82mm | 3.3万円 |
タムロン | SP AF XR Di II LD Aspherical [IF] (Model A16) | 17-50mm | F2.8 | 434g | 72mm | 2.5万円 |
タムロン | SP AF XR Di LD Aspherical [IF] Macro ( Model A09) |
28-75mm | F2.8 | 510g | 67mm | 2.9万円 |
一番上のソニーのSAL2875は、A09と酷似したスペックで、レンズ構成図も似ているので、タムロンのOEMであり、基本的に同じ性能であろう。しかし、値段は倍以上違う。 次のVario-Sonnarは、16万円以上で、論外。Photozoneでレンズ性能を調べると、 みんな似たようなもので、比較するならA09は、価格の割に高性能。意外なことに、フルフォーマットでも使えるようだし、大きさの割に軽い。 ソニーは、手ぶれ補正をボディ側に持つので、レンズが軽く、低価格ですむ。
この表には、17-50mmのキットレンズと同じ短焦点系と、28-75mmのもう少し長い系統が含まれている。この焦点域では、F2.8という、明るいズームレンズが何種類も 出ているのはありがたい。ズーム域が広いと4まで落ちるのもある。レンズの明るさの価値は、 焦点が長いレンズの方が大きい。シャッタースピードを稼ぎたいし、ぼけを大きく出したい。短焦点では、背景をぼけさせるより、焦点深度の深さを生かすことの方が多い。長焦点レンズを 明るくしようとすると、レンズは大きくなり、重くなる。その点、タムロンA09の軽さはとてもありがたい。フィルタ径も、67mmというのは結構大きいが、 17-50mmの72mmより小さいのはいいね。
見た目は、前玉が大きく、鏡筒も太くてたくましく、花形フードもかっこよいし、これで3万円以下とは、とてもお得感がある。ピントリングが大きく、減速率も適当なので、マニュアルフォーカスがしやすい。ロックも付いている。InnerFocusだから?ズームしてもピントがずれない。望遠側でピント合わせをして、広角にセットすることも可能である。デジタルズームで拡大した方が確実かもしれないが、ズームでフォーカスする方が、手間は簡単。もちろん、ピント合わせで前玉が回ることもないので、PLフィルターを付けても問題なし。もっとも、この大きさのPLフィルタは高いだろうね。
Sony A55 F2.8 近くのゆかりの森で撮影。これは、一番望遠側の75mmにして、F2.8開放で撮ったもの。背景がしっかりぼけてくれているし、中心部のコントラストは高そうだ、と思ったが、 |
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中心部を拡大してみると、パンジーがかなりぼけている。ピントが浅いと言うことなのだろうか。 | |
Sony A55 F4.5 こちらは、28mmの広角側で、絞りはF4.5、一見くっきり。 |
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センター部分は、間違いなくクリアに撮れている。1/125で、手ぶれ補正も効かせている。 | |
ところが、この周辺部の乱れはどうよ?これもピンぼけだろうか?28mmという広角側で、この距離なら、全面が無限遠で撮れているはずだが。 |
描写力に疑義が生じたので、もう少し厳密なテストをしてみる。壁に新聞紙を貼って撮ってみる。Tamron A09で、焦点距離を28-35-50-75mmと変化させ、絞りをF2.8開放とF5.6で撮ったものの左下隅をぴくせる等倍で示す。
A09 28mm F2.8 center くっきり明瞭 |
A09 28mm F2.8 bottomleft |
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A09 28mm F5.6 |
A09 35mm F2.8 bottomleft |
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A09 50mm F2.8 bottom left |
A09 75mm F2.8 bottomleft |
F2.8開放では、中央は良いが、周辺は相当に解像度が落ちている。ズーム比に関わらず劣化があるが、望遠側はいくらかましに思われる。F5.6にまで絞れば、像は、圧倒的に良くなる。
周辺で画質が落ちるのは、一般的現象で、A09レンズだけの問題ではないはず。手持ちのレンズで同様の試験をしてみる。ソニーのキットレンズと、50mm単焦点である。
Sony DT1855 55mm F5.6 (wideopen) bottomleft |
Sony DT1855 26mm F4.5 (wideopen) bottomleft |
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DT50 50mm F5.6 bottom left |
DT50 50mm F2.8 bottom left |
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DT50 50mm F1.8 bottom left |
キットレンズDT1855は、A09以上に周辺での画質劣化が大きいようだ。特に、26mm (28mmにそろえようとして28に指標を合わせたのだが、26mmだったようだ)で開放(F4.5)では、ほとんど文字が読めないくらいにくずれている。A09は、開放F2.8なので、F4.5まで絞れば、かなり良い画質になるはずだ。
単焦点のDT50は、安価なレンズだが、やはり単焦点だけのことはあって、F2.8ではA09より良い画質だし、F5.6ではすばらしい。さすがにF1.8開放では劣化が大きいが、A09の開放と同じくらいだろう。
Tamron 28-75mm F2.8は、ソニー、シグマの同クラスの製品に比べて、軽くて安価。画質は、中央では開放から良い画質だが、周辺では落ちる。しかし、F5.6くらいに絞ればかなり改善する。ソニーのキットレンズDT1855よりはずっとましで、DT50単焦点のF1.8開放とA09のF2.8開放が同様の画質ではないか。いずれにせよ、周辺はよろしくないので、被写体を中央でとらえて、周辺は背景としてぼかしてしまうのがよい。F2.8の焦点深度は、かなり浅いので、フォーカスは真剣に合わせなければならない。風景などで周辺までくっきり撮りたいなら、F5.6くらいに絞ること。
絶対的性能がベストではないが、コストパフォーマンスは、明白にベストだろう。3万円以下でこの性能なら、文句はない。
常用レンズとして使うかどうかは、よくわからない。確かに同クラス品より軽量だが、単焦点に比べると倍以上ある。A55の極上の矮小性をスポイルしてしまう。単焦点の50mmと、マクロの30mmを交換しながら使えるなら、その方がよい。どうしても一本ですませなければならないなら、このレンズは、便利そうだ。