パンク修理
(チューブありのクリンチャータイヤの場合)
Penguin!! Jan-2015
自動車と違って、自転車は良くパンクします。タイヤの厚みが全然薄いのに、自動車と同じ道どころか、ガラス片などが点在する道路の左端を通行するからです。また、自動車と違って、スペアタイヤを積んでいません。自転車屋さんはガスステーションほどたくさん開業していません。長距離のサイクリングに出かけられるようになるには、パンク修理技術を身につけていないと不安です。もっとも、パンクしたら、電話してタクシーを使ったり助けを呼ぶ方法はあります。山の中では遭難のおそれも。。。私は、子供の頃、自転車屋さんにパンク修理をしてもらうのを見てだいたいわかっていたつもりですが、その後、何回も自分でパンク修理することになって、かなり自信が付きました。
- 各部の名称
- ホイール、車輪
- ホイールハブ、クイックハブ
- ホイールハンガー
- スポーク
- リム
- ブレーキ
- タイヤ
- チューブ
- 変速機
- (リア)スプロケット
- チェーンリング、チェーンホイール
- フロント・ディレーラ、リア・ディレーラ
- 汚れてもよい服装
- チェーンの黒い油が服に付くとまずとれない。袖口に付きやすい
- 軍手があると良い
- ウェットティッシュは有用。携帯しておくと良い。
- 道具をそろえる
- 空気ポンプ (サイクリング時は、携帯ポンプやCO2ボンベ)
-
英式ポンプしかなければ、英式→仏式変換のバルブフィッター(アダプタ)50円くらい
- 交換用チューブ
- あるいはタイヤパッチ。パッチには、ゴム糊が必要。ゴム糊のいらないイージーパッチでもOK
- タイヤの切れ端 チューブだけでなくタイヤが大きく傷付いたときだけ必要
- タイヤレバー 2本
- 慣れれば不要。それでも、28以上のタイヤでは欲しい
- ぼろきれがあると便利
- パンク穴を見つけるための水を入れた洗面器があると便利
- 穴位置とダメージの識別
- 本当にパンクしているのか?バルブが緩んでいるだけかもしれない
- 空気が抜ける速度は?全く空気が入らないなら、巨大なバースト穴がある。古いチューブでバルブが取れかかっていることもある
- 空気が抜ける音がする、数十秒で抜けきるくらい →音や顔への風でわかる。たいていは、これ
- 非常にゆっくり(一晩くらいで)抜ける → 水につけないとわからない。ちょっとやっかい。えーい、チューブを替えててしまえ!
- 穴のあるなしと、穴の場所を特定。穴位置は、どうしても不明かもしれない
- 段差に打ち付けたなら、おそらくリムうちパンク、チューブの内側(ハブ側)に傷があるはず。強く打つと、並んで2カ所に穴ができる
- 穴は一つとは限らない。二つ以上なら、チューブは交換した方がいい
- チューブの穴がわかったら、対応する位置のタイヤ側の傷も探す。何か刺さっているかも知れない。リム打ちならリムに傷ができているかもしれない
- 車輪をフレームから外す
- チェーンのテンションを緩めるため、前ギア(チェーンホイール)は、インナーに、後ギアは、小さいギアの方の変速しておく。テンションが強くても車輪を外すことはできるが、修理後に車輪を嵌める作業がやりにくい
- 自転車を固定する。後輪をはずすと、チェーンや変速機(ディレーラ)が地面について、汚れたり変形したりするので、自転車の天地をひっくり返して立てると良い。さもなければ、はずしたあと寝かせる
- ブレーキを緩める
- ブレーキアーチを広げる。そのままではブレーキアーチの間隔が狭いので、車輪をはずしにくい。パンクしてタイヤが収縮していると抜き取れるが、空気を入れてはめ込むときにブレーキが邪魔する。シマノは、ブレーキアーチに開放レバーがあり、アーチを広げられる。カンパは、ブレーキレバーに開放ボタンがあり、それを押し込むとアーチを広げられる
- 28以上のタイヤでは、それでもはずれにくい
- クイックハブを緩める。ノブを跳ね上げた後、反対側のナットを3-4回転させる
- 車輪をホイールハンガーからはずす
- 後輪は、チェーンを持ち上げて外す
- タイヤをリムから外す
- 空気を完全に抜く
- バルブの根本のねじがあれば緩め、はずす
- バルブの反対側のタイヤを両手の親指、親指の付け根で押して、リムからはずす
- ちょっとでも外れれば、そこに指を入れて、周囲に広げる
- 難しければ、タイヤレバーを使う。
- リムの中にレバーの先を突っ込み、てこのように使ってこじ開ける。最後まで持ち上げて、タイヤレバーの反対側(柄側)をスポークに引っかける。タイヤレバーには、スポークに引っかけるためのへこみがある。
- このとき、チューブを傷つけないように注意する。タイヤレバーによる傷が、再度のパンクの原因となることがある。
- もう1本のタイヤレバーを、タイヤの周上15センチくらい離れたところに突っ込んで同様にこじ開ける
- 2本のタイヤレバーの間のタイヤが、リムの外側に出てくるので、そこに指を入れて、タイヤの周上を動かし、タイヤ全体を外す
- タイヤを外すのは、基本、片側でよい。もう一方は、リムの中に入ったままになる
- チューブを外す
- バルブをちょっと中に押し込むが、まだはずさない
- バルブ以外の場所から、チューブを引き抜く
- もう一度、パンク穴の位置を確認する。ちょっと空気を入れて、どこから抜けるか調べる。
- パンク穴に対応するタイヤ位置に傷がないか調べる
- もしも、簡単にはパンク穴の位置がわからない場合、タイヤとチューブの位置関係を忘れないようにする。チューブの回転向きを忘れないようにすれば良い。
- 3でパンク穴の位置がわからなかった場合、ホイールから完全にチューブを外した状態でパンク穴を探す。タイヤが付いたままよりは、確実に穴を探せる。重要なのは、その穴に対応するタイヤの傷を見つけること。そのため、位置関係や回転方向を間違えないようにする。
- パンク原因の除去
- パンク穴を補修せず、チューブを交換するのであっても、必ずパンク穴位置を特定し、パンク原因を除去すべき。放置したままチューブを交換すると、異物が残っていた場合はまず間違いなく、再度パンクする。タイヤが付いたままではわかりにくいが、チューブを外すとパンク穴を見つけやすい。目視で見つからない場合は、洗面器に張った水に入れるか、疑わしい場所に(わからなければ全表面に)、たとえば、シンプルグリーンの30倍希釈液のような薄い石けん液をスプレーして、泡の発生を見る。
- パンク穴位置が、車輪の中心(ハブ)側にある場合、リム打ちパンクなので、釘などの異物は見つからない。リム打ちパンクは、初心者に多いパンクで、タイヤ空気圧が低いことも原因の一つ。この場合、リムに傷や歪みが残っていないか確認する。
- パンク穴が、外側にあるということは、路面で何か傷を付けられた、つまり釘かガラス片か、異物が刺さった疑いが濃厚。その釘を確実に探して除去する。タイヤの内側を指でゆっくりなぞってみると何か飛び出ていることがある。パンク後の走行で離脱する可能性もあるが、たいていは残っている。
- そのほかの原因には、安い、古いタイヤで、金属のワイヤビードがチューブを突き刺した場合。段差を斜めに無理に超えたためにタイヤウォールに傷が付く、チューブが古くなって(2年以上は要注意)、特に口金が取れてくる、または、チューブが摩耗して薄くなり、どこかに穴が開く。
- パンク穴が大きい場合、チューブだけでなく、タイヤもダメージを受けている。それが大きいと、そこからチューブがはみ出して、すぐに再度のパンクが起こる。そのため、タイヤにも補修が必要。古タイヤの切れ端を、タイヤの内側に当てればオッケーだが、いずれタイヤは交換した方が良い。タイヤの内側にゴム糊を塗って動かないようにしておけば、タイヤの伸縮性が阻害されるが、100kmくらいの走行はOK。
- パッチ当て
- チューブが新しいなら、パッチを当てて修理しても良い。穴の周囲を紙やすりでこすって油分を除去し、ちょっとざらざらにし、糊が載りやすくする。糊を塗って、3-5分、乾かす。じっと待つ。息を吹きかけたりしない。結露してまずいことになる。ライターで火を付ける猛者もいる。
- そこにパッチを当てる。パッチを当てた後、十分に圧力をかけて、チューブとパッチを一体化させる。薄い表紙は、パッチゴムを引きずらないように注意してはがす。金槌でたたくくらいして、圧着させるとよい。のり付きのイージーパッチは、実はけっこう性能がよい。
- 穴が大きすぎる、チューブが古い場合は、迷わずチューブを交換する。1000円しない。
- タイヤをはめる
- チューブにちっと空気を入れて、空気が抜けないか、修理箇所を確認する。その後、再び、空気を完全に抜く。
- タイヤの片側がリムの中に入っている状態で、チューブをリムの中に入れる。バルブをはめるところから始めて、周囲に広げる。
- タイヤのはずれた側のビードをリムの中に入れる。バルブ位置から始めて反対側に広げる。最後の15センチくらいには、力がいる。両手で車輪をつかみ、指ではなく、親指の付け根で押すとよい。
- タイヤに空気を入れる。
- タイヤに空気を入れるのは、ホイールを車体に取り付ける前か、後か? パンク修理が完全に終わっていれば、タイヤが縮んでいる方が取り付けが簡単なので、取り付け後が望ましいが、パンク修理が不完全だと、やり直しになる。通常は、パンク修理が完成したか確信を持てないので、取り付け前がよい。
- フロアポンプが使えるなら、空気を入れるのは簡単だし繰り返し試行できるが、サイクリング中だと、携帯型の小さいポンプをしこしこ往復させるか、CO2ボンベで試行は一回きりということになる。
- いずれにせよ、まず2-3気圧入れて、様子を見る。徐々に空気が抜けないか、タイヤが均等にリムにはまっているか。空気の抜けを確認するには、タイヤに耳を付けて音を聞く。
- 携帯ポンプで、7気圧まで入れるのは、至難の業。私は、出来た試しがありません。フロアポンプだと、足の筋肉で体重をかけてポンピングできるが、携帯では、腕の力だけになるので、とうてい無理。気圧が測れないのでよくわからないが、4-5気圧はいれば、上等。携帯ポンプは、出来たら(大きめだが)、地面に付けて体重をかけてポンピングできるモノを選ぶ。たいていは無理。
- その点、CO2ボンベは、すばらしい。数秒で7気圧まで入れられる。問題は、一発勝負なこと。慣れていないと、パンク修理には何か問題がある。よくあるのは、バルブから空気が漏れてしまうことと、タイヤレバーでチューブを傷つけること、パンクの原因が除去できていなくてまた穴が空く、チューブだけでなくタイヤに穴が空いていて、そこからチューブがはみ出してまたパンク。
- CO2ボンベのアダプタにネジ式のバルブが付いているタイプを選ぶこと。ネジを操作しながら、2-3気圧にまず持って行く。そこで空気漏れがないか確かめる。漏れるようなら、バルブを閉めてCO2を温存する。問題を解決して、2回目の注入をするのでも、4-5気圧にはできる。一本のCO2ボンベを完全に注入できれば、8気圧くらいまで上げられるはず。5-6気圧で止めて残りを温存しておけば、もう一回パンクしても何とか帰着できる。ボンベを2本携行していれば安心。
- 2-3気圧入れた状態で全周を見回して、タイヤが、リムに均等に入っていることを確認する。タイヤのビード側に周に沿って細い筋が入っているはず。それとリムとの距離が2-3㎜で全周で均等になっていることを見る。もし、潜り込んでいるような箇所があれば、タイヤを押して、均等に出させる。
- その後、フルに膨らませる。慣れていれば、全チューブ工程を交換を5-10分で済ませられる。
- 適正あるいは最高空気圧は、タイやウォールに刻印されている。700x23のロード標準タイヤで7気圧、太めの28だと5-5.5気圧。体重に応じて、加減する。サイクリングに空気圧計を携行することは難しいだろうから、指気圧計を鍛えておく。家で空気を入れたら、圧力を測り、タイヤをつまんで、7気圧はこれくらいの固さかと指で覚えておく。後輪がパンクしたら、前輪の固さと比べるのもいいでしょう。
- 車輪を取り付ける
- ハブをフォーク穴の一番奥まで入れる
- クイックハブを締める。2-3回転させたあと、レバーを倒す。皮膚が少しへこみ跡が残るくらいの圧力になるように、クイックハブの反対側のネジを回して調整する
- ブレーキアーチの開放ロックを解除する。これを忘れることが多い。忘れていると、ブレーキレバーを握ってもブレーキが効かない。