自転車をフレームから組み立てる

Titanium Road Bike Lynskey R260

Penguin!! July 30, 2018
Aug-Sep, 2018 試乗記


ロードバイクを作る

昨年、2017年5月にロードバイクの新車を買いました。Panasonicのチタンバイクをぶつけてフレームが曲がり、ちょうどよいので?カーボンバイクに乗り換えるべく、新しく出たAnchor-のRL9を買ったのです。 週末のサイクリング専用に使っています。同時期に、クロスバイクをフレームから組み立てるという経験をしました。意外と簡単にできたので、今度は、ロードバイクを自分で組み立ててみることにしました自転車は、乗るだけでなく、自分で自転車をいじると楽しみはずっと大きくなる。素人にもロードバイクが作れるでしょうか?

  Anchor RL9 2017年
色が豊富でうれしい。カーボンで軽いし、衝撃吸収性もちょうどよい。サイズのバリエーションがちょっと物足りない。コンポは、パナチタンから載せ替えました。
   2017年5月に、安いアルミ製ロードバイクフレームを買って、自分でクロスバイクに組み立てた、黄色いバナナ号。フォークは付属していた。コンポは、Tiagraクラスで、3×9速。主に通勤に使っている。
  2018年7月。Lynskey R260
新しいチタンバイク、組み立て中。
   安いので迷った、R150
   今回購入したLynskey R260フレーム。50%割引

Lynskey R260 とは

何を作るのかって、もうタイトルに書いてはあるが、一応思考の過程をば。自転車は、数台保有していますが、もう一台、横浜でときどき通勤に使っているのは、2010年に買ったBianchi Lupo です。スチール製で重いのですが、丈夫だし、まあ安いので(10万円くらい)、通勤にはちょうど良いのです。しかし、このごろ、心臓が弱くなってきて、もっと軽いのにしたいし、チタンバイクが壊れて寂しいし、もうこの先そう長く自転車に乗れるわけでもないので、思い切って、Lupoも新調しよう! ということで、しばらく物色していると、前から狙っていたLynskeyのチタンバイクが、Chainreactionで50% 引きと安くなっています。Lynskeyは、チタンバイクだけを作っているメーカーで、パナチタンの時も迷ったのですが、値引きなければ安いわけではないし、輸入代理店もなく、自転車屋さんで組んでもらうには国産の方がよいかと思ってPanaにしたのでした。しかし、50%引きとなれば、別売りのフォークの値段を入れてもパナチタンより安上がりです。フォークは、17%引きで、38,000円ほどでした。chainreactionは、まるで日本の販売店のようなWebサイトがありますが、英国製ですね。Lynskeyにも、いくつか種類がありますし、毎年新機種が出ています。

Youtubeでlynskeyを検索すると、工場の中を映したビデオがいくつか見つかります。リアエンドドロップを作るところで、ヤマザキMazakの工作機械が出てきましたが、そのほかはみな手作りです。しかし、特に高度な匠の技には見えません。手や体の動きが、何らかのフレームやJigで固定されていなくて不安定、ばらつきが多く出そうに見えます。工具を床に落とす場面も映っていました。設計段階で科学的なCADや材料解析やシミュレーションを行っているようにも見えません。コンピュータを使っている場面は一つもありません。パイプについての説明ビデオがありました。R150は、シンプルな真円のパイプに対して、R250 は、部分的に方向を変えた楕円に変形させて強度を出しているような説明でした。正方形に近い形に変形させたり、それをねじったHelixタイプもあります。そういう異方性を活用するには、力学的解析が欠かせないはずだけど、そういうデータは示されていません。私の考えは、楕円や四角にしたら、強い方向、弱い方向ができるので、衝撃的な力が加われば応力集中が起こって結局弱い方向に曲がり、総合的に弱くなるというものです。すべての力が均等に分散される対称構造が一番強いと信じています。強すぎて堅いなら、細く、軽くすれば良い。Lynskeyさんは、初級者用のバイクには、真円パイプを使い、高級車には歪ませたパイプを使って高性能にしていると言っていますが、私は、真円パイプのバイクが欲しい。R250 がそのような異形チューブを使っているなら、R260 に引き継がれていると思いましたが、そうではないようです。R260は、トップチューブが楕円ですが、一定方向につぶれています。ダウンチューブは、前(ヘッドチューブ側)が太く、後(BB側)が細い真円のチューブです。シートチューブは、太さ一定の普通の真円チューブです。あと、一番高価なバイクは、より堅い6Al-4Vチタン合金を使っています。

興味が湧いたので、うちにある3台のロードバイクのフレームパイプの直径を測ってみました。アルミ、カーボン、チタンの3種類あります。楕円の長径、短径の方向が全くまちまちなのでびっくり。TTバイクや、エアロバイクは、全部のパイプが縦長につぶれしてあるが、これら一般向けのロードバイクは、上下に柔らかくなるような味付けがされているのだろうか。チタンの方がアルミより剛性が高いから、細いパイプになるかというとそうでもない。

   アルミ合金製だが、乗り味は柔らかくて、やさしい。
トップチューブの前方は上下につぶれ、後方は左右につぶしてある。
ダウンチューブは、トップチューブと相反する方向につぶれている。
   カーボンファイバー製。
トップチューブも、ダウンチューブも、上下に平たい。
ダウンチューブは、途中で45㎜前後に細くなっているし、BB付近で急に太くなる。
   チタン合金製。
トップチューブだけ楕円。上下に堅く、左右に柔らかくしてるようだ。
アルミバイクよりパイプが細いわけでもない。

サイズは、46㎝から56㎝まで2㎝刻みで6サイズあります。サイズチャートを見ると、私の身長は173.4くらいなので、50㎝のmediumと52㎝のmedium/largeのすき間に当たります。何と、mediumは、173㎝まで、medium/largeは、175㎝からなので、174㎝はどちらにも属しません。小さい方のmediumにしておきました。股下サイズがこれでぴったりみたいなのと(アメリカ水準ではやはり日本人は短足!)、家族(息子)は私よりちょっと小さいので、乗ってもらうにはMサイズがよいかと。しかし、実際乗ってみると、ちょっと窮屈です。一つ上のサイズにして、ステムを2-3cm 短めにしておくという手もありました。

Chainreaction に注文を出して、10日くらいで届きました。びっくりなのは、配達人に数千円の消費税を払わされたこと。関税はかからないのですが、消費税がかかるというのは違和感があります。米国では、消費税は州税で、住んでいない州から届けてもらうときは、消費税免除になるからです。消費税って、最終的に消費者が払えと言うことであって、消費するときにかかる国のコストを負担せよと言うことではないですよね?米国的な考えでは、むしろ、そのものの生産にはいろいろな国のインフラを使ったのだから生産(環境)コストを負担せよという意味ではないかしらん。そうすると、消費国で消費税を払うのはいかがなものか?この税金は、もちろ英国に送られるわけではなく、日本国政府と地方自治体の収入になります。日本はその製造に関わっていないにもかかわらずです。それに、他にもいくつかChainreaction等の海外通販で購入したことがありますが、消費税を徴収されるときと、されないときがあるようです。どうなってるんでしょう。単に運が悪いのでしょうか。しかし文句を言っていると脱税になりかねないのですなおに払っておきました。

フレームの重さは、フレーム単体で1500-1600gくらいあります。別に軽くありません。厚さが変化するbatted tube ではなく、straight tube ばかりで組んであるようです。チェーンステイ、シートステイは、ゆるく湾曲しています。塗装は、全くされていなくて、にぶく磨いた地金にロゴが印刷(貼り付け)されています。チタンの素材を見せるようになっているのでしょう。チタンは錆びにくいからできる技ですね。LynskeyのWebサイトを見ると、いくつかの表面仕上げがそれぞれ異なる価格でできるようですが、Chainreactionでは、スタンダード版しか選べません。

コンポーネントを選ぶ

フレームは、以前からチタンを狙っていたのと、Lynskeyが安くなったので、あっけなく決まりました。コンポも、あっけなくカンパニョーロにします。手作りするのだから珍しいカンパにしてみたいのと、もう一つの理由は、ホイールには余っているCampagnolo Zonda を使うつもりだからです。Zondaは、パナチタンに使っていたのですが、15,000kmを走って、後輪はチューブレスで使うとエア漏れするようになってしまいました。パンク修理材を事前に入れて使っていたせいで、スポークの付け根などから非常に弱いながらエア漏れを起こします。後から聞いたのですが、パンク修理剤をずっといれていると、金属が腐食するらしいです。チューブを入れればまだ使えます。さすがにホイールは高価なので、おいそれとは買えませんからね。カンパのホイールについては、シマノ用のフリーに交換するという手があるそうですが、センター出しというとても難しい作業をしなければならないのと、フリーが1万円くらいするそうなので、やめておきます。

現有のアンカーRL9は、パナチタンから移設した、カンパのAthenaで組んであります(Athenaは、もはや製造中止です)。2004年製Feltは、シマノのUltegra、Bianchi Lupoは、シマノのTiagraです。去年組んだ黄色いクロスバイク、パナナ号もだいたいTiagraです。シマノとカンパ、どちらが良いかと言えば、ブレーキは、強弱の調整がしやすいカンパが良い。変速機は、滑らかな変速ができるシマノがよい。ただし、シフト・ブレーキレバーは、親指の付け根でシフトアップできるカンパが好きです。手の形にも合っていると思います。グレードによりますが、シマノの方が安め。ただし、 1ドル100円以下の円が強い時代は、カンパの方が割安でお得でした。今も、Wiggle、Merlin等海外から通販で取り寄せれば、お得感があります。

電動変速はどうなのか。ホイールがカンパなので、コンポがカンパ縛りになった状態で、電動にするとなれば、カンパの電動エルゴパワーということになって、これはたいへんな出費になります。電動で比較的安いのは、シマノのDi2でしょうが、本当に電動にするとしたら、SRAMの無線式電動コンポ、eTapにしたいと思います。それはもう、たいへんな方針転換になります。よって今回は見送り。でも、一度電動変速に乗ったらマニュアルには戻れないくらい良いらしいので、是非実現したいところです。RL9のAthenaがもう寿命なので、もうちょっと乗ったらSRAM etapにしよう。

もう一つ迷ったのは、ディスクブレーキです。いろいろな記事がディスク時代の到来を予測していますし、新製品はディスクが多い。Lynskeyもディスクブレーキ用フレームを出しています。そう、ディスクにするかどうかは、フレームの選択に影響します。ホイールもディスク用が必要。来年(2019年)買うなら、ディスクにするのではないかと思いますが、今年は、カンパのディスクが出たばかりでもあり、付け方も使い方も自信がないので、普通のリムブレーキにします。それに、ディスクは、ホイールの着脱が簡単にはできなくなりそうです。

というわけで、コンポは、カンパのコーラスにします。前は、50-34、後は12-27の11速、シートポストやサドルはあるものを再利用することにして、主にWiggleに注文しました。(ウィグルって何? 中国の新疆ウィグルを連想させていけません。)一部、アマゾンにも注文を出しました。在庫があれば、1-2週間ほどで届きます。今回は、アサヒでは買いません。

フォークを取り付ける

黄色いバナナ号のTNIのフレームにはフォークが付属していましたし、ヘッドパーツも取り付けられていました。ヘッドパーツあるいはヘッドセットとは、フロントフォークをフレームのヘッドチューブに取り付けるためのベアリングやブレースです。Lynskey では、フレーム、フォーク、ヘッドパーツは別売です。フォークは、一般にはヘッドチューブの直径との組み合わせが何種類かあるようですが、Lynskey が公開している R260の詳細情報からは、ヘッドセットは、Cane Creek IS 42/52 が推奨というのがわかるだけです。42というのが上部、ハンドル側の直径、52が下部(前輪の直ぐ上)の直径だろうと推測します。この情報だけから、フォークを探せるのでしょうか?そもそも、フレームとフォークをばらばらに買って組み合わせることは、ロードバイクでは一般的ではないと思われます。フォークの寸法、形状と、フレームのジオメトリは、独立には決められないからです。マウンテンバイクでは、フォークだけ別売りすることがありますが、それは、フォークのサスペンション機構がさまざまあるからでしょう。とにかく、R260にフィットするフォークを見つけられるとは思えなかったので、Lynskey製のカーボンフォークと組み合わせることにします。

チタンフレームと比べると、Lynskey純正のカーボンフォークは、圧倒的に軽いです。panatitan に付いていたフォークもカーボンと言っていますが、それはフォークの先だけで、ヘッドチューブに収まる部分は金属(アルミ)です。パナチタンのフォークと比べても、Lynskeyのフォークは大変に軽い。さて、それをどうやってフレームに取り付けるのか。Webを漁ると、たとえばこんな記事や、こんな記事があります。フォークの上下にベアリングを取り付ける。ベアリング受けをヘッドチューブに圧入する。圧入するには、特殊な工具が必要。これはびびります。しかし、このような作業が必要なのは、ヘッドチューブの上下がぷっくりとふくらんて大きなベアリングを抱え込んでいるタイプだけのようです。ぷっくりふくらんだタイプというのは、サイクルベースアサヒの記事ではノーマルやアヘッドにあたるようです。Lynskey R260は、何タイプなのか? Lynskeyを見てもよくわからないのですが、マッチするヘッドパーツが Cane Creek IS 42/52 というのの、ISというのは、Integrated Set を意味するのだと推測できます。そして、アサヒの記事その他から、Integrated Setであれば、圧入は不要とわかります。ほっ。

Cane Creek IS42/52 を買えば良かったのですが、amazonで探しても、ぴったりする商品が見つかりません。CaneCreekのWebサイトで探しても、IS40/52はありますが、IS42/52 は見つかりません。うーん困った。フォークの直径をノギスで測ると、上部が28.6㎜、根本が40㎜ほどです。Raleighの、これでスッキリ?ヘッドセット規格という記事では、Fタイプの1.5インチTpaered Integrated に相当するようです。国産品で同じ大きさの部品を探しました。そもそも、R260のヘッドチューブとフォークは、上部と下部で直径が異なる、独特の形をしています。 これでスッキリ?ヘッドセット規格のFというタイプではないかと思います。Cane Creekのパーツと同じとおぼしきが、 TANGE(タンゲ) IS245LT インテグラルヘッドセットで、アマゾンでは4,752円で購入しました。これを合わせてみると、まあ、だいたい合うのですが、下部(ホイール側)の直径が微妙に異なる。しょうがないので、カーボンフォークにサンドペーパーを当てて少しばかり細くして、入るようにしました。金属製のフォークではこうは行かないでしょうね。

フォークは、長めに作ってあるので、てっぺんを切り落とさなければなりません。今乗っているRL9とハンドルの高さが同じになるようにして、さらに1-2㎝余らせておきます。将来、高齢化が進むと、もっと背中を伸ばして乗りたくなるかも知れませんから。ヘッドチューブの上に何㎝立てるのかと尋ねられることがありますが、ヘッドチューブの長さや高さはフレームによってまちまちなので、ヘッドチューブの上部から計るのはあまり正しい計り方ではありません。ヘッドチューブの下ワンか、前輪のハブからはかるべきと思います。上を2㎝余らせることにして、25㎝にしました。カナノコを使って7-8㎝を切り落としました。カーボンファイバーってとても堅いのかと思っていましたが、案外簡単に切り落とせました。鉄はおろか、アルミより簡単に切断できます。

フォークに下ワンのベアリングとスリーブを付けてヘッドチューブに差し込み、上ワンのベアリングとスリーブを付けます。スペーサーを入れてステムを取り付け、その上にさらにスペーサーを入れてキャップを付けます。キャップを締め付けるには、中にねじ受けが必要です。TANGEのヘッドセットは、star fungled nuts が入っています。フォークのキャップを締め付けるのに必要なパーツですが、フォークへの打ち込みには、専用工具が必要です。それを探していると、カーボンフォークでは、star fungled nutsは使わず、プレッシャプラグ、あるいはプレッシャアンカーと呼ぶ部品を使うことがわかりました。これもAmazonに発注です。2,500円ほどです。その取り付け方がまた微妙です。アンカーのネジをちょっと締めてアンカーを太らせ、フォークの内径と同じくらいにして差し込みます。セッティングナットで隙間を適当にとって、アンカーのネジをちょっと締めてアンカーを固定します。そこに上からキャップとネジをつけて締め上げます。締めれば締めるほど、アンカーがフォークに食い込んで固定される仕組みです。スターファングルナットよりちょっと重いのが難点だそうです。それにいい値段します。

  ヘッドチューブ
上と下で直径が異なる、テーパー型。
  ヘッドチューブを上から覗いたところ。インテグラル型のヘッドパーツが収まるようなくぼみがある。
   TANGE IS245LT
このISも、Integrated Set なのでしょう。
   Kuwahara ヒラメマルチプレッシャーアンカー
取り付け方はこちら。
   フォークの上部8cmをカットしたところ


BBを取り付ける

BBは、自転車のへそ、自転車ドライブトレーンの要です。BBが決まると、BBとペアになるクランク、チェーンリングが決まり、それからディレーラやシフトレバーがだいたい決まってしまいます。ですからBBとクランクの選択が重要なのですが、そこがまた、自転車パーツとしては闇の深い部分なのです。実際、私も、間違ったBBを買ってしまいました。アマゾンで、campagnolo + bb で検索すると、大きく2種類のBBが見つかります。ベアリングと軸が付いたタイプと、フレームのBB部分に取り付けるキャップのようなタイプです。実際、この軸とキャップの両方が必要のように見えます。次に、クランクを検索すると、こんな商品が見つかります。チェーンリングとクランクだけで、左右のクランクをつなぐ軸は含まれないかのように見えます。それで、軸付きのBBとキャップをを購入したのですが、大ハズレでした。軸は、クランクセットに付いていたのです!

こういう不手際を防止するには、グレードごとのグループセットというのを買えばよろしい。セットになっているから割引があるわけでもなさそうですが、互換性のない部品を買い込むことは避けられます。しかし、グループセットの部品で満足なのかと問われれば、不満があったからフレームから組み立てることにしたのです。セットでよければ、完成車を買えば良い。なんとも矛盾した結論に至ります。つまり、かみ合いそうもない部品を飼い慣らすのが組み立ての醍醐味か。失敗費用を2万円くらいは見ておくべきでしょう。

結局、chorusでそろえるには、以下のBBカップとウルトラトルククランクセットの2点が必要です。カップを回す工具は、シマノと共通です。買ってて良かった。

   campagnolo
ウルトラトルクBBカップ
Record outboard cups
Amazonで、 ¥3,500くらい
  Campagnolo
Chorus 11スピードウルトラトルクカーボンクランクセット
50-34
¥38,627
   このような裏側の写真を見るまでは、このクランクセットは、クランクとチェインリングだけで軸がないように見える。
   BB レンチ
シマノ、カンパ共通。
Amazonで、¥1,361

まず、BBカップをフレームに取り付けます。フレームには、BBの内側にねじが切ってあり、BBカップの外側のネジとかみ合います。しかし、ネジの切ってある方向が尋常ではありません。ペダルと似たような関係にあるはずですが、向きが逆なのです。つまり、車体の右側(チェーンリングが付いている側)のBBカップは左回転で、左側では右回転で装着されます。直観とは逆です。つまりクランクを回すと、BBカップが緩む方向にネジが切ってあります。

BBカップのネジには、滑り止めが塗ってあり、手で回しても全く入りません。これを締め付けるには、専用の工具 BB レンチ を使います。かなりの力が必要ですが、そうすると、工具がはずれて空回りし、カップに傷をつけます。傷つけずに締め付けられるかどうかが、プロとアマの違いです。

カップには、波形のバネのようなワッシャーと、抜け止めのワイヤーが付いています。左のクランクにバネワッシャー、右のチェーンリング側にワイヤー栓を取り付けます。この穴から水が入りそうですね。

左右のカップが付いたら、クランクをつけます。両側から差し込んで真ん中で嵌合させ、嵌合部を6㎜のボルトで締めます。ボルトは、BBの中央にあるので、長いレンチが必要です。L型のレンチを差し込んで、それをモンキーレンチで締めます。最後に上記の抜け止めの半円状のワイヤーを穴に差し込んで止めます。

R260を組み立てる

経験から、BBとフォークが定まれば、あとは、フロントディレーラとワイヤーの調整だけが難しいところだと思っていました。ところが、ステムの取り付けで、落とし穴がありました。6角レンチが合わない!4㎜では小さく、5㎜では大きすぎます。インチサイズなのでしょうか?いや自転車にインチはないはずです。リアディレーラを取り付けるときも同じ問題に当たりました。ステムには、説明書きはなかったのですが、ディレーラにはCampagnoloの簡単な説明があります。そこには、T25ネジだと書いてあります。トルクスネジだったのです。トルクス、あるいはヘキサローブ hexalobe ネジは、日本ではあまり使われませんが、欧州ではかなり広く普及しているらしく、イタリア製のパーツにも使われています。シマノにはないですね。携帯工具にも、やや高級なセットにはT25が含まれています。T25は、プラスねじや六角レンチなどよりずっと締めやすい構造をしています。だから、大事な部位にはT25が使われているのでしょう。ステムの他は、リアディレーラ、リアブレーキ、ブレーキシュー、シフトレバー(Ergo power)の取り付けねじがトルクスです。

フォークが付くと、前輪を付けられます。前後輪を取り付けるとスタンドに立てて作業がしやすくなるので、後輪も取り付けます。そのためには、スプロケットを取り付けなければなりません。11枚を重ねてネジで締め付けます。BB用の締め付け工具と共通です。

スタンドに自転車が立ったら、ハンドル、リアディレーラ、フロントディレーラ、シートポストとサドル、チェーンを付けます。チェーンの長さは、クランクから後輪軸までの距離、前ギアの歯数、後ろギアの歯数から、こちらの計算機で求めます。ありがたや。107と出ましたが、偶数でないとつながらないのと、Missing Linkでつなぐので、107個を残して切り、108個目にmissing linkを入れます。missing linkは、再利用不可ということです(なぜ?)

フロントディレーラは、シマノだとバンド型と直づけ型がありますが、カンパには直づけしかありません。直づけでは、フレームに専用の取り付け穴が必要ですが、LynskeyR260には付いていません。それで、バンドから直づけに変換するアダプターを取り付けます。フロントディレーラの位置は、外歯の真上で、大ギアのてっぺんから1-3㎜の隙間になるようにします。が、とりあえずの仮付けで、ワイヤを張るときに位置を微調整します。その点、リアディレーラは、取り付け位置が固定ですので、ネジで締め付けるだけです。

ブレーキアーチもここで取り付けます。フロントブレーキは、フォークに空いた穴にネジを突っ込んで、反対側からナットを締めますが、フォークが太いので、届きません。フォークに付属している長いナットを使います。

写真を撮っておけばよかったのですが、あれよあれよと簡単に進んでしまって、撮り忘れました。

ワイヤ張り

Campagnoloのコンポーネントには、User's manual が一緒に入っています。ちゃんと日本語パートがあってありがたい。だけれど、取り付け方は、ほとんど書かれていません。シマノのコンポも同じですね。CamagnoloのWebサイトに行くと、コンポーネントのマニュアルがダウンロードできます。Chorusならここです。一番下にDOWNLOADがあります。パーツを選べば個別にダウンロードできますが、DOWNLOAD ALLで一括ダウンロードできます。Technical manuals のタブを選んでからDOWNLOAD ALLしてください。デフォルトではInstruction sheets がダウンロードされますが、これは、パーツの箱に紙で入っているUsers manual と同じです。このTechnical Manual は、ずっと気づかなくて、試行錯誤しました。シマノも立派なDealer's manual のダウンロードサイトを開設してくれています。自作派にはありがたいですね。

さていよいよ、ワイヤ張りです。右手のシフターから、リアディレーラを最初につなぎました。シフタは、シフトダウンのボタンを10回押して、トップギアコマンドにしておきます。シフタに付属のチューブを右シフタからハンドルに沿わせてフレームの中継ポスト(右)までを切り取ります。ハンドルを左に一杯に切っても突っ張らないように、多少の余裕を持たせます。中継ポストから、BBの下のワイヤガイドを通し、チェーンステイの下のガイドを通します。ここで、ワイヤを泥や油から保護するゴムのチューブに通します。そこから、ワイヤをディレーラの後ろを回る長さにチューブを裁断し、チューブを通してディレーラに留めます。リアディレーラは、フリーの状態では、トップギアよりさらに外側に出ていますので、ディレーラを押して、トップギアの真下に来る位置で留めておきます。順序が前後しますが、トップ側限界調整ねじ(車軸寄り)を締めて、ディレーラが外側にはみ出さないようにします。そこから、Ergopowerをシフトダウンしていくと、チェーンがだんだん大きいギアに移り、最後にローギアで止まるべきですが、さらに内側に行こうとしますので、ロー側限界調整ねじを締めて、それ以上車輪側に行かないようにします。これで、後変速機のだいたいの調整ができました。

次に、フロントディレーラをワイアリングします。Ergopowerは、やはり親指のシフトボタンを押して、インナーを選択するコマンド位置にします。アウター限界調整ねじは、緩めておきます。左手のErgopowerから、左側の中継ポストを通じて、BB下のガイドに導き、そこからワイヤを上に引っ張り上げて、フロントディレーラにつなぎます。インナー限界調整ねじは、フロントディレーラがインナーギアの真上に来るようにしておきます。ワイヤを一杯に引っ張ってネジを留めます。そこから、左Ergopowerをシフトアップすれば、アウターギアに移るはずです。トラベルが足りない場合、インナー位置をアウター側に寄せて、ワイヤを強く引いて留めます。アウターにシフトできたら、アウター限界調整ねじをそこまで締めておきます。

次は、ブレーキワイヤです。前ブレーキが右手というのは、世界共通ではありません。ドイツで自転車を借りたら、逆でした。が、ここは日本なので、右のErgopowerを前ブレーキにつなぎます。ネジを緩めた状態でワイヤを通し、ブレーキアーチを手で握ってブレーキがかかっている状態にしてネジを締めます。そうすると、ワイヤの遊びの分、ちょっと緩んでパッドとリムの間に適当な隙間ができます。左右のパッドが均等に当たるように調整します。

後ろブレーキも同様ですが、LynskeyR260のトップチューブには、ブレーキワイヤを通す穴が空いています。まずここにチューブを通します。反対側から引っ張り出すのがちょっと難しい。1.5㎜くらいの六角レンチをフレームの出口穴に入れて、チューブの穴に引っかけて引っ張り出すとうまくいきました。ところが、このチューブを押したり引いたりしているうちに、反対側の穴でアウターチューブが傷つき、鉄製のチューブがむき出しになってしまいました。そのうちさびてしまうかもしれませんが、しばらく使って交換することになるでしょう。

ワイヤの調整は、休み休み、2時間ほどで完成しました。シマノより楽にできた気がします。難しいのは、フロントディレーラをシートチューブに取り付ける位置でしょう。それから、ディレーラの動作の限界を設定するネジが、トップ側とロー側のどっちかわからないこと。T,Lのマークを付けて欲しい。
   タイヤがあり合わせなので、色が違っている。
サドルも使い古し。
   サドルを戦闘的なFisiikに取り替える。
ダウンチューブは、真円だがテーパーがかかっている、
円錐台状。
  コーラスだからクランクのネジ止めは4カ所? アテネの5本リンクのクランク、
チェーンリングとは互換性がないことに今頃気づく。
ということは、手持ちのRotor Qringも付きませんね。
  トップチューブは楕円で上から見ると細い。 
最後に、ペダルを取り付け、ハンドルにテープを巻きます。ボトルケージは、まだ用意できていません。重さを量ると、ペダルPD-M530を含めて、8.34kgでした。ペダルPD-M530は、455gあります。、シートポストが、ショック付きの重いものです。いろいろこだわれば、8kgを切るのは簡単でしょう。チタンバイクは、軽さを競うようなものではありません。あまり気にすることなくこの重量に収まったのは、さすがcampagnolo chorusというところでしょうか。

サドルバッグなど

車体は組み上がりましたが、快適なサイクリングには、まだいくつか小道具が必要です。

  携帯工具
T25トルクスレンチのついたものを買いました。このTopeak mini9 は、小さくて、必要十分なキットです。Topeak mini6は、トルクスがありません。mini9proは、大きすぎます。トルクスが付いていて、小さいのはこれだけ。
チェーン切りなんて携帯する必要ないでしょ。amazonで1724円は高価ですが、違いはあります。
   サドルバッグ。携帯工具、予備チューブ、パンク修理キットを入れます。パンク修理って、パッチも糊もタイヤレバーも入れず、炭酸ガスとバルブのみ。あとは、ワイヤーロックか。これは、300円台ととても安い。(色が、RL9の青にぴったりだったのでこれはRL9用にして、赤いバッグに付け替えました)
   フレームバッグ。
カメラとスマホ、財布を入れます。トップチューブの上でひっくり返るのが多いのですが、このタイプは、ダウンチューブまでベルクロを伸ばして留めるので安定がよい。
   ボトルケージ。定番のミノウラ、アルミケージですが、経験では数年たつと振動で折れます。プラスチックのケージの方が耐久性があると思いますが、今回は、チタンカラーにしたかった。折れにくいかと思い、MTB用の太めタイプにしました。
   どどーん! Garmin Edge 1030
高いけど、これがないと初めての道を走れない。Edge820が良かったのだけれど、不具合が直らないという記事があまりに多かったので、上位機種にしました。2018年3月に購入。
   Garminのマウント。中国製のまがい物。
   こちらは、Garminのマウントの純正品。
まがい物は、アームが短いので、ステムに当たります。edge820だったらよいかもしれませんが、edge1030では純正品を使うべきです。

サイクリングに出かける

2018年7月29日、台風一過(関東から関西に去って行った)の日曜日、のんびり往復13kmほどのサイクリングに出かけました。そのまた翌週は、18kmほど走りました。ここんとこ、心臓が不整脈を打つので、あんまり頑張らない方がいいと整体の先生にストップされているのですが、できあがったばかりのロードバイクに乗らずにほっておくこともできません。乗り始め、サドルの位置、ブレーキのワイヤ長、シューズのクリートの向きなどを調整します。シートポストをあと15㎜ほど出して、2㎝ほど後にずらします。ショックが入っていて、体重をかけると沈み込みますから。まだチェーンの動きやギアとの当たりがまだ渋いようです。BBのベアリングもまだ渋いのではないか。リアディレーラの調整ねじも動かしてみます。などなど、あちこち調整しながら数㎞走ると、かなり調子よくなりました。

フレームは、弾むような躍動感があります。それに軽い。フォークが軽いのが効いているのではないか。自転車の前部が軽いと、全体に軽く感じます。ハンドルの動きも軽くなります。それに、ブレーキが良く効きます。まだパッドの接触面の当たりが出ていないはずですが、パッドのゴムが新しいからか、キュッと止まります。フロントディレーラは、まずまずですが、Chorusは、インナーに三つのポジションがあります。場合によっては、3回動かさないとアウタに移りません。Chorusの右(後ろ)シフターは、一度に5速シフトアップできます。しかし、5速も一度にシフトアップしたい場面はありません。シフトダウンは、3速までですから、シマノなどと同じです。シフトフィーリングは、まあまあですね。やはり、シマノの方が上でしょう。フレームの差よりも、コンポーネントの差の方がわかりやすいですね。フレームは、塗装がないので、傷や掃除にあまり気を使わなくて良さそうなのもプラスです。

サドルバッグにパンク修理キットも用意できたので、もう少し遠出して、50kmの平地サイクリングに出ます。2018年の夏は猛暑なので、長距離は危険、しばらくはこれくらいに留めておきます。前の2回は、新車が組み上がったばかりで舞い上がっていましたが、今回は3時間、冷静に、いろいろなスピードを試しました。結論は、このフレームは、とても剛性が高いということです。私ごときの力では、たわんだり撓ったりすることはありません。乗り心地も大変硬質です。私は乗り心地を見るには、道路の継ぎ目の段差とか、アスファルトがひびわれてごつごつしている部分で比較しますが、まず、段差では、けっこう、どすんという振動が生じます。アスファルトのひび割れは、いくつひび割れているかわかるくらい、正確に振動を伝えてきます。このフレームには、衝撃吸収性はありません。乗り心地を良くしたいなら、タイヤ、サドル、シートポストあるいはホイールに柔らかいモノを使うべきでしょう。パナチタンと似ています。チタンという共通材料だからでしょうか。堅い金属というイメージそのままの乗り心地です。その分、ロスが少なく、効率よく進む気がします。

フレームは、自転車の要ですが、フレームを替えたら速くなったり、楽になったり、安全になったりと、差が出るとは考えにくい。ブラインドで乗り比べても簡単にはわからないでしょう。フレームは、自転車の基礎なので、堅く、丈夫で軽ければ良く、味付けは、タイヤやコンポーネントで考えればよいでしょう。その意味では、Lynskeyは、基本に忠実です。フレームが柔らかかったら、周囲に何を使っても堅くはできませんが、堅いフレームに周辺部品でクッションを亜が得ることは可能です。まあ、もう少し乗ってみましょう。山にも行きたいですね。

2018年8月17日、とても涼しい天気だったので、筑波山に登ってきました。ここでは、23℃くらいでした。やはり、この自転車は、硬くて乗り心地が悪いです。しかし、下り坂になったら、一転して、とても調子よいバイクになりました。剛性が高いのと、ロードの振動周波数がかみ合った感じがします。ロードの凹凸が細かくなって伝わってきます。遅いとごつごつしますが、スピード出せばちょうどよい硬さになります。カンパのコンポは、やはりブレーキはとても良いが、変速機は、ガチャーンと切り替わる感じで、変速が重いです。不思議なことに、ばねを解放する方向の、リアのシフトアップがとても重い。最高5段をワンアクションで変速できるのですが、一段だけ変速したいときに力を入れすぎると2段以上変速してしまいます。シフトアップ操作が重いので、調整が難しいのです。エルゴパワーの握り心地は良いのですが、シフトアップレバーの動くところは溝が切ってあって、妙に中指がはまって違和感があります。

2018年8月19日、霞ヶ浦北岸を50kmほど。9月16日、再び筑波山不動峠。都合300kmほど乗って、なんだか、この自転車が好きになってきた。衝撃吸収が悪いと思っていたが、気にならなくなってきた。サドルは、6年前にパナチタン用に買って、しばらく乗ったが硬くていやになって、外した物件である。それをLynskeyに使っているが、硬いとは気にならない。自転車全体では、そんなに軽くはないが、フォークが軽いので取り回しが楽な気がする。フォークは、パナチタンより圧倒的に軽い。変速は、相変わらず、カンパらしい、ガチャーンという感じだが、調整したらちゃらちゃら言うこともなくなった。ブレーキは、すこぶる良い。

2018年9月23日(日)、笠間まで、全部で96kmのサイクリング。ちょっとお尻が痛くなったが、快適でした。硬くて振動が多いと思っていましたが、心地よい振動だと思えるようになりました。はっきり言って、とても乗り心地が良いです。1月で400kmほど走って、感じ方が変わりました。段差で、腰を上げなくてもよくなった気がします。この変化は何だろう?

結論

ロードバイクを組み立てる、特にフォークを取り付ける、カンパニョーロのコンポを組み付けるという2点では、とてもよい経験ができました。フォークは、インテグラル型ならば、簡単に取り付けられます。インテグラル型以外は、特殊な工具が必要で、自作するハメになりそうです。スターファングルナットなどもそうですが、フォーク回りは、特殊工具が必要な場合が多いので、良く確認しておく必要があります。フォークのカラムをカットするのは、パイプカッターなどなくても、カナノコで意外と簡単にできました。BBは、クランクと合わせてパーツを選定しないといけませんね。失敗しました。事前に、カンパ(あるいはシマノ)のWebサイトから、マニュアルをダウンロードして調べておくべきでした。パーツは、互換性に注意しながら選定する必要があります。これもマニュアルを見れば書いてありますが、そのとおりにやっていると、見事に囲い込まれます。トルクスレンチを買う必要があります。

Lynskeyのチタンバイク・フレームは、Chainreactioncycles.comで半額で買えました。パナチタン以上に硬く、ロスは少ないが、乗り心地は、ごつごつこつこつする感じです。その代わり、下り坂など、スピードが出る局面では、衝撃がしなやかに吸収され、素直な挙動になるようです。

カンパのコーラスは、高価な割に、動きが硬い感じです。まだ当たりが出ていないだけかも知れません。ディスクや電動に関心が移っているので、ノーマルな構成ではもう進歩が少なくなるでしょうから、これが最終の姿かも知れません。変速機の調整は、うまくできたと思いますが、変速フィーリングは良くありません。ブレーキはとても良いです。

今回は、初めてのロードバイクなので、確実に組み立てられるよう、冒険のないパーツ構成にしました。しかし、リムブレーキに手動のワイヤー変速は、長く続いてクラシックになってしまいました。それだけ安定しているのですが、世の関心は、ディスクや電動にあります。次にやるなら、ディスクや電動、できたら油圧も入れてみたい。電動をやるとしたら、ワイヤレスのSRAM etap が良さそうですね。さらに、リカンベントやタンデム、Velo mobile なんてのもおもしろそうだ。自分で組み立てられるようになると、妄想が広がりますね。