2006年8月 Penguin!!
これはやらないといけないでしょう。建坪率、容積率、強度、採光の計算をします。姉歯がごまかし、市がごまかしを発見できなかった、というあれです。
建築申請の通りに建てられているかを検査します。計画は立派でも、施工で手を抜くことは可能ですから。自治体(市）から、検査を受けるように、というはがきが来ました。しかし、検査を通りそうにありません。決まりでは、屋根裏は、天井までの高さが140センチ以内であること、直下の階の面積の半分未満であること、固定式の階段がついていないこと、ということになっています。建築確認申請では採光が足らないので納戸になっているが、人が住めそうな部屋というのもあります。
どうしてこういうことになるのでしょうか。建築基準法に、住居はこうあるべしという条件が定められています。自治体は、土地によってどういう建物なら建てて良いかを定めています。これらの規則は、その住民が安全に暮らせるように、隣人が日照や安全で被害を被らないように、国全体での土地の利用効率が上がり、公害にならないように、などを目的としているようです。その目的に異を唱えるものではありませんが、3階建てを制限したり、窓の大きさを決めることに意味があるのでしょうか。
3階建てがいけないのは、3階建てだと、より高い強度を必要とするからです。であれば、3階建てならば太い柱を使え、というのはわかりますが、ここに3階建ては建ててはならん、というのはどういうことでしょうか？日本の住居の天井高は、240-260センチくらいらしいですが、ピグミー族のような小さい人たちが、階高180�僂�3階建てを作りたいと言うと、180�僂覆里蝋修錣覆い韻譴鼻�3階にすることは許可されないわけです。屋根の高さは10メートルに制限されており、斜線規制を含めて、隣家への影響は家の高さで規制されますから、同じ高さなら、2階建てにしようが3,4階建てにしようが自由に思われますが、いかがでしょうか。
3階建てにするつもりはなくても、屋根を平らにしない限り、どうしたって屋根裏部屋はできてしまいます。どうして屋根は平らでなく傾斜があるのか、おそらく雨漏りに強くするためでしょう。実際、今住んでいる社宅は、鉄筋コンクリート製で屋根が平らですが、雨漏りがひどいです。で、屋根を傾斜にすれば、どうしたって空間ができる。屋根の裏側には、十分な断熱材(発泡フォーム）を貼り付け、全館冷房用のエアコンを付けますので、屋根裏は快適な空間になります。そこを居住空間にしてはいけないというのは残念。それならば、せめて収納に使いたいというのが人情でしょう。ところが、天井までの高さは、140�僂鯆兇┐覆い茲Δ砲靴覆韻譴个覆蠅泙擦鵝�そうしないと建築確認も下りないし、完了検査も通りません。屋根裏に広い空間ができたとしても、わざわざ狭くするために天井を下げて作らなければならないというのは、ばかばかしい限りです。
採光は、居住空間の床面積の1/7以上を確保しなければなりません。建物の外部と敷地境界線の距離が短いと、隣の建物の陰になって採光できないというので、窓面積に算入できません。一方、窓は、熱効率を阻害します。夏にはエアコンがせっせと内部の熱を外部に吐き出すのですが、そのその熱のほとんどは窓から、特に太陽が直射することで持ち込まれるものです。私の家のような窓が小さい場合で、半分が窓からの熱です。南側に掃き出し窓を三つも四つも作ると、それだけで10キロワット以上の熱が入ってきます。しかし、建築基準法は、窓をなるべく大きく取れと言っています。なぜでしょう？窓が小さいと換気が悪くて一酸化炭素中毒事故が起きるからでしょうか。万一の場合に逃げ場を失うからでしょうか。国は、省エネルギー住宅の基準を定め、断熱の高い家を建てることを奨励しています。断熱が高ければ、エネルギー消費を抑制でき、CO2の発生も抑えられ、地球規模での温暖化にも効果があるからです。しかし、その方針は、建築基準法と矛盾しているように思われます。
これも偽装建築で問題になったことです。瑕疵のある強度の低い建築物が売買されることを防ぎ、消費者を守ることが目的でしょう。中間検査は、主に基礎や柱などの構造に問題がないか、筋交いがちゃんと入っているか、金物は強度を満たしているか、などを検査するようです。検査は、自治体から委託された検査機関、実態は市や県の外郭団体が行い、15,000円ほどの費用がかかります。施主が負担します。しかし、検査の実態は、おざなりだという話も聞きます。完了検査は、完成時に建築物が確認申請通りになっているか、建築基準法を満たしているか、すなわち窓がちゃんととってあるか、部屋の目的があっているか、3階建てになっていないか、などを検査するようです。これもやはり15,000円ほどかかります。
これらの検査を受けることは、施主の義務ですが、特に罰則はありません。以前は、5割くらいしか受けていなかったのが、最近は7割に達しているそうですが、まだ受けない人がかなりいるということです。中間検査を受けずに完了検査だけ受ける人もいるようで、そのときは壁をはがして柱や金物を見せて検査を受けるように、という指導もあり得るそうです。壁をこわしてもっと窓を大きくするように、ということもあるかもしれません。そこまでの危険を冒すべきでしょうか。
中間検査や完了検査を合格していれば、建築基準法や地区の制限を満たした合法的な建築物である、という安心が得られます。しかし、屋根裏の天井をわざわざ低くして設けたり、エネルギー効率を大きく犠牲にして窓を大きくすることに納得がいかない人は、検査を受けることに躊躇するようです。検査を受けないと大きな不利益があるのでしょうか？いろいろな人の意見をwebなどで調べると、どうやらこの検査は、建て売り住宅を主なターゲットにしていることがわかりました。ハウスメーカが建てた家を見て買おうとする人は、もう躯体の構造はわかりませんし、ややこしい建築制限を満たしているか、逐一確かめるには、相当な知識が必要になります。それが、確認申請、中間検査、完了検査の合格証を見れば、しっかりした家だということが簡単にわかります。それを確認しないで家を購入し、後から2階建てのはずが3階建てになっていたのでローンが借りられない、売買でも安く買いたたかれる、などの話をテレビで見ました。建て売りを買うときは、重大なチェック項目です。一方、注文建築で、生涯にわたって住む決意であり、将来売るつもりがなければ、これらの検査に合格することはあまり意味がありません。第3者による検査で安心は得られますが、家の仕様を自由にできなくなりますから、功罪相半ばと言ったところでしょう。私の場合は、基礎ができるところから、毎週のように現場に足を運んで見ていますし、どこにどういう柱が入っているか、写真にも撮り、目にも焼き付いています。自分で納得した家ですから、検査でだめ出しされるのは迷惑というものです。
家を建てる人は、ほとんど、住宅ローンを借りるでしょう。10年以上のローンを組めば、税金が安くなると言うおまけもあります。私の場合は、貯金をすっかりはたけばローンを借りずにすませることも可能でしたが、たとえば年4-5%の利息がつく外国預金を取り崩すよりは、0.8%のローンを借りる方が得だということで、いくばくかの借金をすることにしました。銀行は、その際に大量の文書を提出させます。土地が自分のものであるか、確認申請は合格しているか、登記はすんでいるか、火災保険に入っているか、など、とりっぱぐれのないよう、担保としての価値を確認するためにいろいろ調べるわけです。面倒なことですが、その結果、不動産屋や工務店にだまされているわけではなさそうだ、という安心が得られます。もっとも、人の土地を買わされる詐欺、他人の家屋を勝手に登記する輩などもいるようで、こういう書類がそろっているから完全に安心、何かあれば誰か(申請を受け付けた自治体や国）が保証してくれるというわけではありません。
土地と家の取得には、不動産取得税がかかります。家屋の建設では、消費税もかかります。家を登記すれば、登録免許税がかかります。その後は、毎年固定資産税がかかります。しかし、持ち家を奨励する政策なのか、不景気対策なのか、いろいろな減免措置があります。新築から3年くらいは固定資産税がずっと安くなります。
不思議なことに、これらの税金は、土地や家の購入に充てた金額ではなく、自治体が独自に審査する固定資産評価額を元に決められます。家が建った後、検査官？が来て、家を隅々まで見て、建て直すとしたらいくらかかる、という額を推定します。その額は、たいてい本当の価格の5-7割くらいになるようですが、床に大理石を使うなど、見た目を豪華にすると高い評価額になってしまうそうです。さらに不思議なことに、これらの税評価は、完了検査や登記とは必ずしも連動していなくて、完了検査を受けていなくても税金の取り立てに来るようです。縦割り行政の弊害でしょうか。
登録免許税というのは、登記の時に取られます。12-3万円も払わないといけないそうです。「登記はしなかった。税も払っていない。」という人もいるらしい。登記をしなかったので、固定資産税の取り立てもなく、30年くらい脱税していた人もいるようです。最後に発覚して、30年分払え、ということになったとか。登記をしないと、ローンも借りられませんし、住宅財形にも税金がかかってしまいます。登記はしなくちゃならんでしょう。家屋調査士や司法書士に依頼します。請求書を見てびっくり。免許税自体は、15,000円ほどで、あとは測量や書類作成料となっています。自分でやれば、10万円ほどの節約になりますね。
